私は約30年間にわたって光触媒の研究を行っており、現在はブルネイ大学で研究を続けております。ブルネイは日本よりもカビが発生しやすく、多くの方が悩まされています。光触媒はカビにも有効で、ブルネイでは大変喜ばれている技術です。
ブルネイだけではなく、日本でカビに悩む人々のためにも一役買うことはできないだろうかと考えていた時、当協会専務理事の穂苅氏より、お父様をカビによる病気で亡くされたという話を聞きました。
「これ以上カビで悩まされる人を増やしたくない」
そんな思いから日本建築防黴協会を設立し、啓発・予防セミナー、市場調査、カビ取り業者の認定など、様々な活動をしております。
カビはどんなものにでも発生してしまいます。「汚い」「気持ち悪い」といったイメージを持たれがちですが、私たちが日々生活していく中で、カビは切っても切り離せない関係なのです。例えば沖縄県では、平均寿命が90年代に入ってから低下してきており、80年代は全国1位だったものの、2015年には46位まで落ち込んでしまっています。原因としては、多湿に加え、近年、水分を吸収しやすい住宅が増えたことにより、カビが発生しやすくなってしまい、肺炎にかかってしまう人が増えたことが要因として示唆した論文も出ています。
健康被害だけではありません。モノや場所の場合だと、カビ取りを行っても完全に色落ちしないケースもあり、取り返しがつかない事態になってしまうこともあります。事実、当協会の調べではカビ取り市場規模は1000億円程度と言われており、いかにカビが猛威を振るっているかが伺えます。だからこそ当協会では、一人一人がカビに対する知識を持ち、対策していくこと。カビ取り業者の技術力向上が大切だと考えています。
今後も日本建築防黴協会は、カビに悩まされる方をなくすこと、カビに対する正しい知識の普及、世界最高水準のカビ取り施工業者の認定、日本の最新カビ事情を発信していくことを使命として活動してまいります。